ラボグロウンダイヤモンドの育成方法には、大きく分けてCVD法とHPHT法の2つがあります。商品説明や鑑定書でこの表記を見て、「どちらが良い品質なのか」と迷う方も少なくありません。
結論から言うと、品質や輝きの判断基準は製法ではなく、天然ダイヤモンドと同じ4C(カラット・カラー・クラリティ・カット)です。どちらの製法でも、炭素の結晶であるダイヤモンドが育成され、硬さや輝きに関わる性質は共通しています。製法の違いは「生まれ方」の違いであり、そのまま品質の優劣にはつながりません。
この記事では、2つの製法の仕組みと違い、製法ごとに知られている傾向、そして鑑定書での確認方法と選び方の結論を整理します。
CVD法とHPHT法とは|2つの育成方法
HPHT法(高温高圧法)
HPHT法は、High Pressure High Temperature(高温高圧)の略称です。天然ダイヤモンドが生まれる地球内部の高温高圧の環境を、専用のプレス装置で再現して結晶を育てる方法です。IGIによると、装置では1,500℃近い温度が使われます。小さなダイヤモンドの種結晶を起点に、溶けた金属(フラックス)の中で炭素が種結晶に取り込まれ、結晶が成長します。できあがる結晶は、立方八面体に近い特徴的な形になるとされています(GIA)。
CVD法(化学気相成長法)
CVD法は、Chemical Vapor Deposition(化学気相成長法)の略称です。チャンバー(反応炉)の中に薄いダイヤモンドの種結晶プレートを置き、メタンなどの炭素を含むガスを分解して、炭素原子を種結晶の上に少しずつ堆積させ、層を重ねるように結晶を育てる方法です。できあがる結晶は、四角く平たい板状(tabular)になるのが特徴とされています(GIA)。
育成にかかる期間は、IGIでは概ね1〜4週間と説明され、GIAも多くのサイズで1か月未満としています。どちらの製法でも、育成された原石は天然ダイヤモンドと同じように研磨されて市場に出ます(IGI)。
| 項目 | HPHT法 | CVD法 |
|---|---|---|
| 正式名称 | High Pressure High Temperature(高温高圧法) | Chemical Vapor Deposition(化学気相成長法) |
| 育成の仕組み | 高温高圧の環境を装置で再現し、種結晶に炭素を取り込ませて育てる | 炭素を含むガスを分解し、種結晶プレートの上に炭素を堆積させて育てる |
| 結晶の形の傾向 | 立方八面体に近い形 | 四角く平たい板状 |
| 育成期間の目安 | 概ね1〜4週間(サイズや品質による) | 概ね1〜4週間(サイズや品質による) |
| 品質の判断基準 | 4C(製法では決まらない) | 4C(製法では決まらない) |

製法で品質や輝きは変わる?
どちらの製法でも「ダイヤモンド」であることは同じ
CVD法でもHPHT法でも、育成されるのは炭素の結晶であるダイヤモンドです。化学・物理・光学的な性質は天然ダイヤモンドと本質的に同じで、モース硬度10という硬さも共通しています。製法が違うことは、品質が違うことではありません。
品質は4C、輝きはカットで判断する
個々の石の品質は、製法の名前ではなく、第三者機関が評価する4Cで判断します。とくに輝きはカット(研磨)の評価に大きく左右されます。同じ製法の中にもグレードの幅があり、別の製法の石と比べても、比べるべきは4Cと、実物の写真や動画で見る輝きの印象です。
肉眼で製法は見分けられない
研磨された石を見て、どちらの製法で育ったかを肉眼で判別することはできません。製法の識別は、鑑定機関が専用の機器で成長の痕跡などを検査して行うものです。そのため「見た目でどちらか分かる」という前提で選ぶ必要はありません。
製法ごとに知られている傾向
製法そのものが品質を決めるわけではありませんが、育ち方の違いから、次のような傾向が知られています。いずれも「傾向」であり、個々の石の評価は鑑定書の記載が優先します。
- HPHT法:育成に使う金属フラックスに由来する、暗い色の金属系の内包物が含まれる場合があるとされています(GIA)。
- CVD法:育成後に色調を整えるための処理(加熱など)が行われる場合が多いとされています(GIA)。処理が行われた場合は、鑑定書にその旨が記載されます。
- 共通:どちらの製法でも、色の無色〜有色、内包物の多少には幅があり、最終的なグレードは4Cの評価で決まります。
気になる点がある場合は、印象で判断せず、鑑定書のコメント欄や商品ページの記載を確認することが大切です。
鑑定書で製法を確認する方法
IGIのラボグロウン向けグレーディングレポートには、ラボグロウンダイヤモンドであることの明記に加えて、生成方法(HPHT法/CVD法)に関する情報が記載される場合があります。育成後の処理が行われた場合も、その旨が記載されることがあります。
確認の手順はシンプルです。
- 商品ページで、鑑定書の有無と発行機関を確認する
- 鑑定書(またはその写し)で、生成方法とコメント欄の記載を確認する
- レポート番号があれば、IGIの公式サイトで内容を照会する
鑑定書の項目全体の読み方は、「IGI鑑定書の見方|ラボグロウンダイヤモンドのグレーディングレポートで確認したい項目」で詳しく解説しています。

購入前に確認したいポイント
- 製法より4Cを優先する:カラット・カラー・クラリティ・カット、とくに輝きに直結するカットの評価を確認しましょう。
- 製法を知りたい場合は鑑定書で確認する:商品ページに製法の記載がない場合、鑑定書の生成方法の記載が手がかりになります。記載がない商品もあります。
- 処理の有無はコメント欄で確認する:育成後の処理が行われた場合は、鑑定書に記載されます。
- 実物の印象もあわせて見る:鑑定書は品質の裏付けですが、着けたときの印象は写真や動画でも確認することをおすすめします。
よくある質問
Q. CVD法とHPHT法はどちらが良いですか?
A. どちらが上ということはありません。製法は生まれ方の違いで、品質は個々の石の4Cで決まります。製法の名前ではなく、鑑定書の評価と実物の印象で選ぶことをおすすめします。
Q. 製法によって価格は変わりますか?
A. 製法だけで価格が一律に決まるわけではありません。価格はカラットや4C、地金やデザインなどを含めて決まります。価格の考え方は「ラボグロウンダイヤモンドの価格は?1カラットの値段と価格が決まる理由」をご覧ください。
Q. 自分のダイヤモンドの製法はどうすれば分かりますか?
A. 鑑定書付きの石であれば、生成方法が記載されている場合があります。記載がない場合や鑑定書がない商品では、販売店への確認が必要です。肉眼で判別することはできません。
Q. CVD法の処理(トリートメント)は問題がありますか?
A. 育成後の色調を整える処理は一般的に行われるもので、行われた場合は鑑定書に記載されます。記載を確認したうえで選べば、知らないうちに処理された石を選ぶことはありません。
まとめ
CVD法とHPHT法は、ラボグロウンダイヤモンドの2つの生まれ方です。仕組みと結晶の形には違いがありますが、どちらも炭素の結晶であるダイヤモンドであり、品質や輝きは製法ではなく4C、とくにカットで判断します。製法が気になる場合は、鑑定書の生成方法とコメント欄の記載を確認しましょう。
基礎から知りたい方は「ラボグロウンダイヤモンドとは?天然との違い・特徴をわかりやすく解説」もあわせてご覧ください。
もっと詳しく知りたい方へ
ラボグロウンの基礎を知りたい方へ
「ラボグロウンダイヤモンドとは?天然との違い・特徴をわかりやすく解説」
鑑定書の読み方を知りたい方へ
「IGI鑑定書の見方|ラボグロウンダイヤモンドのグレーディングレポートで確認したい項目」
価格の見方を知りたい方へ
「ラボグロウンダイヤモンドの価格は?1カラットの値段と価格が決まる理由」
実際の商品を比べたい方は、公式オンラインストアのラボグロウンダイヤモンド一覧をご覧ください。鑑定書の有無や品質表示は商品ごとに異なるため、各商品ページでご確認ください。
参考にした情報
- IGI「Laboratory Grown Diamonds」(IGI公式サイト)
- GIA「Is There a Difference Between Natural and Laboratory-Grown Diamonds?」(GIA公式サイト)
- IGI「Laboratory Grown Diamond Report」
上記は2026年10月29日時点で確認した内容です。