ラボグロウンダイヤモンドは、天然ダイヤモンドやモアサナイト、キュービックジルコニア(CZ)と見分けられるのでしょうか。結論からいえば、天然とラボグロウンの区別は、肉眼やルーペだけでは確実にできません。家庭で手軽に確実に見分けられる方法も、ありません。
一方で、ダイヤモンドとモアサナイト・CZは別の素材です。購入者が現実的に確認できるのは、販売表示、グレーディングレポート、公式照会、刻印です。この記事では、見分け方を3つに分けて整理します。
ラボグロウンダイヤモンドの「見分け方」は3つに分けて考える
「見分ける方法は?」という疑問は、知りたいことによって、次の3つに分けられます。確認できる方法も、それぞれ異なります。
| 知りたいこと | 結論 | 詳しく見る節 |
|---|---|---|
| ① 天然とラボグロウンを区別したい | 肉眼・ルーペ・一般的な簡易テスターだけでは確実に判断できない。識別は専門機関の検査で行われる | 肉眼・ルーペ/専門機関の識別 |
| ② ダイヤモンドとモアサナイト/CZを区別したい | 別の素材。見た目に傾向はあっても、見た目だけで断定しない | 4種類の関係/比較表 |
| ③ 購入した石とグレーディングレポートを照合したい | 発行機関・レポート番号・刻印・公式照会で、石と記載内容の一致を確認する | レポート/刻印・番号の照合 |
① 天然とラボグロウンダイヤモンドを区別したい
天然とラボグロウンは、本質的に同じ化学・物理・光学的性質を持ちます。そのため、肉眼やルーペ、一般的な簡易テスターだけで確実に判断することはできません。識別は、専門機関が高度な検査で行っています。
購入者は、販売表示、グレーディングレポート、刻印、公式照会で確認することになります。
② ダイヤモンドとモアサナイト/CZを区別したい
モアサナイトとCZは、ダイヤモンドに似せて使われる別の素材で、ダイヤモンドではありません。見た目に傾向はあっても、見た目だけで断定することはできません。
素材は、商品表示に記載された石の種類や、専門機関の鑑別・レポートで確認します。
③ 購入した石とグレーディングレポートを照合したい
レポートは、発行機関、レポート番号、記載内容を確認し、石そのものと一致しているかを照合します。ガードル(石の側面の外周部分)の刻印や、発行機関の公式サイトでの照会も手がかりになります。
ラボグロウンダイヤモンドの特徴・基礎知識については、別の記事で解説しています。この記事では、見分け方・識別・比較に絞って説明します。
天然・ラボグロウン・モアサナイト・CZの関係
見分け方を考える前提として、4種類の素材の関係を整理します。ラボグロウンダイヤモンドは、研究所などの専用設備で人工的に育成されたダイヤモンドです。
天然とラボグロウンは「ダイヤモンド」、モアサナイトとCZは「別素材」

天然ダイヤモンドは自然界で形成され、ラボグロウンダイヤモンドはHPHT法(高温高圧法)またはCVD法(化学気相成長法)などで人工的に育成されます。どちらも炭素の結晶で、本質的に同じ化学・物理・光学的性質を持つ一方、生成過程や成長履歴は異なります。
ダイヤモンド(炭素の結晶)
・天然ダイヤモンド:自然界で形成
・ラボグロウンダイヤモンド:HPHT法またはCVD法などで人工的に育成
ダイヤモンド類似石(ダイヤモンドとは別の素材)
・モアサナイト:炭化ケイ素からなる素材
・キュービックジルコニア(CZ):酸化ジルコニウムからなる素材
モアサナイトとCZは、ダイヤモンドに似せて使われる別の素材です。良し悪しではなく、ダイヤモンドの仲間か、別の素材かという素材の区分で整理すると分かりやすくなります。
「人工」「合成」と呼ばれる石は同じ?
「人工ダイヤモンド」は、ラボグロウンダイヤモンドを指す呼び方の一つとして使われています。ただし、研磨材などの工業用ダイヤモンドを指す場合もあります。
宝飾用として流通するモアサナイト(モアッサナイトとも表記されます)は合成品が一般的で、CZも人工的に製造される素材です。どちらもダイヤモンドではありません。GIA(米国宝石学会)も、宝飾用のモアサナイトやCZを、ダイヤモンドに似せた類似石として紹介しています。
「人工」「合成」という言葉が付いていても、ダイヤモンドかどうかは素材で決まります。ラボグロウンダイヤモンドと合成品のモアサナイトは、どちらも人工的に作られますが、同じ素材ではありません。
4種類の違いを比較表で確認
4種類の違いを、素材・硬度・確認の手段で比べます。硬度や成分は素材の性質の違いを示すもので、数値が高い方が優れているという意味ではありません。
| 項目 | 天然ダイヤモンド | ラボグロウンダイヤモンド | モアサナイト | CZ |
|---|---|---|---|---|
| 主成分 | 炭素 | 炭素 | 炭化ケイ素 | 酸化ジルコニウム |
| ダイヤモンドか | はい | はい | いいえ | いいえ |
| モース硬度 | 10 | 10 | 約9.25 | 約8.5 |
| できかた | 自然界で形成 | HPHT法またはCVD法などで人工的に育成 | 宝飾用は合成品が一般的 | 人工的に製造 |
| 肉眼・ルーペでの判別 | 肉眼・ルーペだけでの確実な区別は困難 | 見た目に手がかりがある場合はあるが、見た目だけで断定しない | ||
| 確認に使える手段 | 販売表示、グレーディングレポート、専門機関の検査 | 販売表示、専門機関の鑑別 | ||
天然とラボグロウンは、同じダイヤモンドとして性質が本質的に共通しています。モアサナイトとCZは別の素材で、硬度などの性質も異なります。天然とラボグロウンは肉眼やルーペだけでは確実に区別できず、モアサナイトとCZも見た目だけでは断定できません。いずれも、商品表示・レポート・専門機関の検査を手がかりに確認します。
肉眼やルーペだけで見分けられる?
結論として、①天然とラボグロウンは、肉眼やルーペだけで確実に区別することは困難です。②ダイヤモンドとモアサナイト・CZは、見た目に手がかりがある場合もありますが、見た目だけで断定することはできません。
天然とラボグロウンの場合
天然とラボグロウンは、本質的に化学的・光学的に同じです。そのため、従来の宝石学的な観察や機器では区別できないと、GIAも説明しています。肉眼やルーペで判別することは、基本的にできません。
識別が必要な場合は、専門機関の検査に委ねることになります。詳しくは、後述の「専門機関は天然とラボグロウンをどう識別する?」で説明します。
ダイヤモンドとモアサナイト・CZの場合
モアサナイトやCZは、ダイヤモンドと光の見え方が異なる場合があり、見た目に手がかりになることもあります。ただし、カットの種類、石の大きさ、照明の条件によって見え方は変わります。見た目だけで断定することはできません。
素材を確認したいときは、商品表示に記載された石の種類や、専門機関の鑑別・レポートを手がかりにしてください。
一般的なダイヤモンドテスターで分かること・分からないこと

ダイヤモンドテスターは、石がダイヤモンドかどうかを調べる小型の機器です。市販の一般的な簡易テスターと、専用のスクリーニング機器とでは、位置づけが異なります。
簡易テスターで分かること
市販の一般的な簡易テスターは、ダイヤモンドと一部の類似石を見分ける補助として使われますが、判定には限界があります。
機種や石の性質によって、誤判定が起こり得ます。テスターの結果だけで、素材を断定することはできません。
簡易テスターでは分からないこと
一般消費者向けの簡易テスターだけで、天然かラボグロウンかを確実に判断することはできません。GIAも、従来型の「ダイヤモンド検出器」では天然とラボグロウンを区別できないと説明しています。
GIA iD100など専用スクリーニング機器との違い
一方で、GIAのiD100のように、天然ダイヤモンド、ラボグロウンダイヤモンド、類似石をスクリーニングするための専用機器もあります。分光技術を用いた機器で、結果は「天然として通過(Pass)」か「追加検査が必要(Refer)」で示されます。
「追加検査が必要」となった石は、天然の場合もラボグロウンの場合もあるため、さらに検査が行われます。また、機器ごとに、対象となる色の範囲やサイズ、類似石への対応が異なります。あくまで振り分けのための一次判定であり、購入者が家庭で行う確認方法ではありません。
専門機関は天然とラボグロウンをどう識別する?
①天然とラボグロウンの識別は、専門機関が行います。GIAなどの専門機関では、分光分析などの高度な検査や専用機器を組み合わせて、天然・ラボグロウン・類似石を識別します。ひとつの観察結果だけで判断せず、複数の特徴を総合して判断する点が特徴です。
IGI(国際宝石学会)も、提出されたすべての石について、天然・ラボグロウン・類似石のスクリーニングを行っています。
ラボグロウンダイヤモンドには、HPHT法やCVD法といった生成方法の違いや、成長後の処理があり、それぞれ特徴が異なります。そのため、識別には高度な分析が必要になります。これは専門知識と設備を持つ機関が行う検査で、一般の方が家庭で再現できるものではありません。
グレーディングレポートで確認できること
③購入した石とレポートを照合するうえで、もっとも現実的な確認手段が、第三者機関が発行するグレーディングレポートです。レポートでは、主に次の点を確認します。
- 発行機関名
- レポート番号
- ラボグロウンダイヤモンドである旨の記載
- カラット、カラー、クラリティ、カットなどの品質情報(記載方式は機関によって異なります)
- 寸法
- レポートの対象となっている石
IGIは、ラボグロウンダイヤモンドのレポートにも、天然ダイヤモンドと同様に、カラット・カラー・クラリティ・カットの4Cなどを記載します。一方、GIAは2025年10月以降、D〜Zのラボグロウンダイヤモンドの評価に、「Premium」「Standard」という記述方式を導入しています。
このように、GIAとIGIでは記載方式が同一ではありません。レポートを比べるときは、発行機関ごとの違いにも注意してください。
なお、GIAの評価結果やレポートは、公式のReport Check等を通じてオンラインで確認できます。IGIのレポートは、印刷されたレポートのQRコードや、レポート番号から、オンラインで同じ内容を確認できます。
グレーディングレポートは、品質や由来を確認するための重要な情報です。購入時は、レポート番号や刻印、商品情報を照合し、そのレポートが対象の石と一致していることも確認しましょう。
ガードル刻印・レポート番号の確認方法
③のうち、石とレポートを結びつける手がかりが、ガードルの刻印とレポート番号です。ガードルとは、石の側面の外周部分のことです。
ここに、極めて小さな文字や番号がレーザーで刻印されることがあります。刻印は肉眼では読み取りにくく、拡大して確認します。
刻印の運用は、発行機関ごとに異なる
GIAでは、ラボグロウンダイヤモンドのガードルに「Laboratory-Grown」の文字と、該当する品質評価番号(Quality Assessment Number)またはレポート番号を刻印する運用があります。
IGIは、グレーディングしたラボグロウンダイヤモンドに、ラボグロウン起源を識別する刻印を自動的に施しています。また、IGIのレーザー刻印サービス(Laserscribe)では、レポート番号をガードルに刻印でき、石とレポートの照合に利用できます。
刻印される内容は機関やレポートによって異なるため、実際の石やレポートに記載された内容で確認します。
レポート番号は、発行機関の公式サイトで照会する
刻印やレポートに記載された番号は、発行機関の公式サイトで照会できます。手順は次のとおりです。
- 商品ページやレポート、刻印で、発行機関とレポート番号を確認する
- 発行機関の公式サイト(GIAのReport Check、IGIのVerify Your Reportなど)で、レポート番号を入力して照会する
- 照会結果の内容(カラット、品質情報など)が、商品の表示やレポートの記載と一致しているかを確認する
刻印がない、または確認できない場合
すべての石に、レポート番号の刻印があるとは限りません。刻印がないことだけで、石に問題があると判断することはできません。
また、刻印は拡大しないと見えないため、購入者が自分で確認しにくい場合もあります。その場合は、商品ページに記載されたレポート情報を確認したり、販売店に問い合わせたりする方法があります。
購入前に確認したいポイント
見分け方を知ったうえで、実際に購入する前には、次の点を確認しておくと安心です。
- 商品名・商品説明に「ラボグロウンダイヤモンド」であることが明記されているか
- 石の品質(4Cなど)や仕様が具体的に記載されているか
- グレーディングレポートの有無、発行機関、対象となる石が明記されているか
- レポート番号や刻印がある場合、発行機関の公式サイトで照会した内容と一致するか
- 販売店の情報、返品・保証・アフターサービスが明確か
グレーディングレポートの付属条件・品質・仕様は商品ごとに異なるため、各商品ページで確認してください。
小粒石やメレダイヤでは、商品によって1粒ごとの個別レポートが付属しない場合があります。レポートがないことだけを理由に真贋を判断することはできません。
購入判断全体で確認したい点は、購入で後悔しないための確認ポイントでも整理しています。
よくある質問
Q. 天然とラボグロウンダイヤモンドは、肉眼やルーペで見分けられますか?
A. 確実には見分けられません。本質的に同じ化学・光学的性質を持つため、識別には専門機関の検査が必要です。
Q. ダイヤモンドテスターで天然とラボグロウンを区別できますか?
A. 一般消費者向けの簡易テスターだけで、確実に判断することはできません。専用のスクリーニング機器もありますが、追加検査が必要になる場合があります。
Q. ラボグロウンダイヤモンドとモアサナイトは同じですか?
A. 同じではありません。ラボグロウンダイヤモンドはダイヤモンド、モアサナイトは炭化ケイ素からなる別の素材です。宝飾用のモアサナイトは合成品が一般的ですが、素材が異なります。
Q. グレーディングレポートは、購入時にどう確認すればよいですか?
A. グレーディングレポートは、品質や由来を確認する重要な情報です。レポート番号や刻印、商品情報を照合し、そのレポートが対象の石と一致していることも確認しましょう。
Q. ガードルに刻印がない場合は、問題があると考えてよいですか?
A. 刻印がないことだけで判断することはできません。刻印は拡大しないと見えず、運用も機関ごとに異なります。レポートや販売店の情報とあわせて確認しましょう。
Q. 小粒のダイヤモンドやメレダイヤにレポートがなくても問題ありませんか?
A. 商品によっては、1粒ごとの個別レポートが付属しない場合があります。レポートがないことだけで真贋は判断できないため、商品ページの表記もあわせて確認しましょう。

まとめ
ラボグロウンダイヤモンドの見分け方は、知りたいことによって3つに分けて考えると整理できます。
- ① 天然とラボグロウン:肉眼・ルーペ・一般的な簡易テスターだけでは確実に区別できず、識別は専門機関の検査で行われます。
- ② ダイヤモンドとモアサナイト/CZ:別の素材です。見た目に傾向はあっても、見た目だけで断定はできません。
- ③ 購入した石とレポート:販売表示、グレーディングレポート、刻印、公式照会で、石と記載内容の一致を確認します。
購入する際は、レポートの有無だけでなく、発行機関、レポート番号、対象となる石まで確認してみてください。
もっと詳しく知りたい方へ
婚約指輪として検討している方へ
価値・資産性の考え方を知りたい方へ
価格の見方を知りたい方へ
商品ごとの品質情報やレポートの有無を見比べたい方は、公式サイトのラボグロウンダイヤモンド一覧をご覧ください。グレーディングレポートの付属条件・品質・仕様は商品ごとに異なるため、各商品ページで確認してください。
参考にした情報
- GIA「Is There a Difference Between Natural and Laboratory-Grown Diamonds?」(2019年公開)
- GIA「How do I identify laboratory-grown diamonds?」
- GIA「GIA iD100 Gem Testing Device」
- GIA「An Introduction to Simulants or Imitation Gem Materials」
- GIA「Laboratory-Grown Diamonds: An Update on Identification and Products Evaluated at GIA」(Gems & Gemology、2024年夏号)
- GIA「GIA Launches Updated Laboratory-Grown Diamond Services October 1」(2025年8月26日)
- GIA「How can I be sure that my GIA Laboratory-Grown Diamond Report is authentic?」
- IGI「Laboratory Grown Diamond Report」
- IGI「Diamond Grading Process」
- IGI「Laserscribe」
上記は2026年9月21日時点で確認した内容です。