ラボグロウンダイヤモンドに価値はあるのか。資産になるのか。売るときはどうなるのか。こうした疑問は、「価値」という言葉が何を指すかによって、答えが変わります。
結論から言えば、「天然なら資産になる」「ラボグロウンなら資産にならない」という二択では整理できません。この記事では、価値を3つの観点に分け、売却・資産としての価値はさらに3つに分けて、考え方を整理します。相場や買取価格を示す記事ではありません。
結論:ラボグロウンダイヤモンドの「価値」は3つに分けて考える

「価値はあるのか」という問いへの答えは、何を価値と考えるかで変わります。この記事では、価値を次の3つに分けて考えます。
| 観点 | 見るポイント | この記事での扱い |
|---|---|---|
| A. ジュエリーとしての価値 | 美しさ、品質、身につける満足感 | 「A・B」の節で解説 |
| B. 購入価格に対する価値 | 同じ予算で得られるサイズ・品質・デザイン | 「A・B」の節で解説 |
| C. 売却・資産としての価値 | 残存価値、換金性、投資としての性質 | 「C」の節以降で解説 |
ラボグロウンダイヤモンドは、ダイヤモンドであり、モアサナイトやCZなどの類似石とは異なります。GIAは、ラボグロウンダイヤモンドが天然ダイヤモンドと本質的に同じ化学的・光学的性質を持つと説明しており、違いは生成過程にあります。詳しい基礎知識は、ラボグロウンダイヤモンドの特徴・基礎知識で解説しています。
「天然か、ラボグロウンか」ではなく、「どの価値を重視するか」という軸で読み進めてください。
A・B:ジュエリーとしての価値と、購入価格に対する価値

A. ジュエリーとしての価値:美しさ・品質・身につける満足感
ジュエリーとしての価値は、見た目の美しさ、石の品質、デザインや仕立て、身につけたときの満足感で決まります。ダイヤモンドの品質は、カラット・カラー・クラリティ・カットの4Cや、グレーディングレポートの記載で確認できます。
これは、天然でもラボグロウンでも共通する見方です。一方で、天然であること自体に価値を感じる方もいます。どちらの感じ方も、ジュエリーの価値の一部です。
B. 購入価格に対する価値:同じ予算で何が得られるか
同じ予算でも、選べるサイズ、品質、デザインの幅は、商品によって異なります。「この価格でこの内容なら納得できる」という感覚が、購入価格に対する価値です。
価格が低いことは、価値が低いことを意味しません。価格が高いことも、優れていることを意味しません。価格の見方や実際の価格例は、ラボグロウンダイヤモンドの価格の見方で解説しています。
C:売却・資産としての価値は「残存価値・換金性・投資としての性質」に分ける
「売却・資産としての価値」には、意味の異なる3つの問いが混ざっています。この記事では、次の3つに分けて考えます。
この区分について
「残存価値」「換金性」「投資としての性質(投資性)」の3つは、業界で統一された定義ではありません。この記事で価値を整理するための、便宜上の区分です。
「資産価値」という言葉が含む3つの意味
「資産価値」という言葉は、売れるかどうか、現金化しやすいか、値上がりが期待できるかを、ひとまとめにして使われることがあります。混ぜたまま比べると、判断がぶれやすくなります。
日本ラボラトリーグロウンダイヤモンド協会(JLGDA)は、換金できることと、資産価値のある商品であることは別の概念だという見方を示しています。JLGDAは業界団体であるため、ここでは補助的な見解として紹介します。
| 区分 | 問い | 補足 |
|---|---|---|
| 残存価値 | 売却したとき、値段が付くか | 値段が付くことと、購入価格に近い金額になることは別です |
| 換金性 | 買い手や市場があり、現金化しやすいか | 現金化しやすいことと、価値が保たれることは別です |
| 投資としての性質(投資性) | 購入価格以上の利益や値上がりを期待できるか | 値上がりは約束されません |
残存価値:売却したとき、値段が付くか
残存価値は、手放すときに値段が付くかどうかという視点です。中古品として値段が付くことと、購入価格と同じ金額になることは別です。
売却価格が何で決まるかは、後半の「天然ダイヤモンドの資産性をどう考えるか」で説明します。
換金性:買い手や市場があり、現金化しやすいか
換金性は、買い手や売却先があり、現金化しやすいかという視点です。売却先があることと、希望する金額で、希望する時期に売れることは別です。
投資としての性質:購入価格以上の利益や値上がりを期待できるか
投資としての性質(投資性)は、購入価格を上回る利益や値上がりを、根拠をもって期待できるかという視点です。値段が付くことや、現金化できることとは、別の問いです。
将来の売却価格や値上がりは、天然・ラボグロウンのいずれについても保証されません。
「値段が付く」ことと「投資として優れている」ことは別
・値段が付くか(残存価値)
・現金化しやすいか(換金性)
・利益や値上がりを期待できるか(投資としての性質)
この3つは、それぞれ別の問いです。値段が付くことは、投資として優れていることを意味しません。
天然とラボグロウンを、3つの観点で見比べる
A・B・Cの観点で、天然とラボグロウンを見比べます。一律には言えない点が多いため、断定できる箇所と、そうでない箇所を分けて示します。
| 観点 | 天然ダイヤモンド | ラボグロウンダイヤモンド |
|---|---|---|
| A. ジュエリーとしての価値 | 天然であること自体に価値を感じる方もいます。品質は4Cやレポートで確認します | 天然と本質的に同じ化学的・光学的性質を持ちます。品質は4Cやレポートで確認します |
| B. 購入価格に対する価値 | どちらも、選べるサイズ・品質・デザインの幅は、商品によって異なります | |
| 残存価値 | 二次流通市場はありますが、購入価格と売却価格は同じではありません | 二次流通の状況は、石・ジュエリー・売却先・市場環境等によって異なり、一律には言えません |
| 換金性 | 二次流通市場はありますが、売却条件や査定額は、商品・売却先等によって異なります | 取り扱いの有無や査定条件は、売却先・商品・市場環境等によって異なり、一律には言えません |
| 投資としての性質 | どちらも、将来の売却価格や値上がりは保証されません | |
表のとおり、天然とラボグロウンで「一律には言えない」点は多くあります。どちらかが有利であることを示す表ではありません。
天然ダイヤモンドの資産性をどう考えるか
天然ダイヤモンドには、二次流通市場があります。ただし、二次流通市場があることと、資産として価値が保たれることは、同じ意味ではありません。
二次流通市場はあるが、購入価格と売却価格は同じではない
新品のジュエリーの購入価格には、石そのものの価格に加えて、加工、ジュエリーの製造、流通、小売などの要素が含まれます。売却するときは、これらがそのまま反映されるわけではありません。
中古の価格は、品質、需要、供給、デザイン、ブランド、状態、売却先などによって変わります。GIAの売却ガイドでは、売却方法として、オークション、販売店への売却、下取り、委託販売などが挙げられており、条件は売却先によって異なると説明されています。これは米国向けの一般的な解説で、日本の各事業者の運用を示すものではありません。
グレーディングレポートは品質情報であり、査定額ではない
GIAは、ダイヤモンドの認証や査定(appraisal)を行っていないと説明しています。GIAのレポートは、寸法、品質、識別特性などの技術情報を示すもので、金銭的な査定額は記載されません。
査定(appraisal)は、金銭的な価値の見積もりで、レポートとは別のものです。レポートの情報は価値を考える材料になりますが、レポートがあることは、売却価格や将来の価値を示すものではありません。
金地金との違い:基準となる価格と市場の構造
金地金と比べると、性質の違いが分かりやすくなります。World Gold Council(WGC)によると、金にはスポット価格やLBMA Gold Priceなどの基準となる価格があり、世界規模で流動性の高い市場があります。金への投資には、バーやコインなどの現物に加え、ETFやOTC取引など複数の形態があります。
一般的な完成品ジュエリーには、金地金のように、保有品へそのまま当てはめられる共通のベンチマーク価格があるわけではありません。一般的なジュエリーは、身につけることや美しさを楽しむことを主な目的とする商品で、金地金など価値保存を主目的とする資産とは性質が異なります。JLGDAも、店頭で販売される多くの天然ダイヤモンドジュエリーは価値保存を目的とした商品設計ではないという見方を示しています。
投資として語られる希少な石
極めて希少な大型石や、鮮やかなファンシーカラーダイヤモンドには、高額で取引された例があります。GIAは、大粒で鮮やかなファンシーカラーダイヤモンドは非常に希少で価値が高いと説明しています。
こうした例を、一般的なジュエリー用の天然ダイヤモンドにそのまま当てはめて考えることはできません。
ラボグロウンダイヤモンドの売却・リセールをどう考えるか
二次流通の状況は、一律には言えない
ラボグロウンダイヤモンドの二次流通市場の状況や買取価格は、石、ジュエリー、売却先、市場環境などによって異なるため、一律には言えません。現時点で、消費者向けに使える統一的な買取相場は確認できていません。
そのため、この記事では、買取価格や回収率の数字は示しません。
新品の価格と、中古の買取価格は別のもの
新品の価格(卸価格や小売価格)が変動することと、中古の買取価格は、別のものです。新品の価格の動きだけから、中古の買取価格を一律に推測することはできません。
「売れる?買取価格は?」への答え方
買取対応や査定額は、売却先・商品・市場環境によって異なり、統一的な金額や回収率は示せません。
売却を考えている場合は、購入前に、売却先で扱いがあるか、どのような条件になるかを確認しておくと、判断しやすくなります。
「何%残るか」だけで判断しない:損失率と損失額

売却価格が購入価格の何%になるか(回収率)だけを見ると、判断を誤る場合があります。損失率とあわせて、損失額(購入価格と売却価格の差)も見る視点が大切です。
仮定の例で考える
仮定の例です
次の表は、実際の買取相場ではありません。天然・ラボグロウンの実際の買取相場を示した数字ではなく、損失率と損失額の違いを説明するための仮定です。商品の種類は問いません。
| 仮定の商品 | 購入価格 | 売却価格 | 損失額 | 損失率 |
|---|---|---|---|---|
| 商品A | 100万円 | 50万円 | 50万円 | 50% |
| 商品B | 10万円 | 0円 | 10万円 | 100% |
損失率で見ると、商品Bの方が大きくなります。損失額で見ると、商品Aの方が大きくなります。どちらの見方も一面を示しているだけで、どちらが有利という話ではありません。回収率だけでなく、損失額も見る、というのがこの例のポイントです。
なお、売却価格0円は、説明のための極端な仮定です。
損失額と、身につけて得る満足を合わせて考える
損失額は、購入価格と売却価格の差です。ただし、ジュエリーには、身につけて楽しんだ時間や満足感という、金額に表れない価値もあります。
売却価格だけで判断せず、ジュエリーとしての価値(A)や購入価格に対する価値(B)とあわせて考えると、納得して選びやすくなります。
目的別に考える:どの「価値」を重視するか
重視する価値によって、選び方は変わる
- 美しさや、同じ予算での選択肢(A・B)を重視する場合:品質情報やデザインを見比べて選びます
- 天然であること自体に価値を感じる場合:天然ダイヤモンドも選択肢になります
- 購入価格以上の値上がりや売却益を期待する場合:天然・ラボグロウンのいずれも、将来の売却価格や値上がりは保証されません。慎重な検討が必要です
- 売却を前提に考える場合:購入前に、売却先の条件を確認します
どの価値を重視するかは、人によって異なります。大切なのは、ご自身の価値観に合っているかどうかです。
購入前に確認したい5つのポイント
- 購入目的(美しさ・満足感、価格とのバランス、売却を考えるか)を整理する
- 品質情報(4C、レポートの発行機関、対象の石)を確認する
- デザインや仕立て、サイズ直しなどのアフターサービスを確認する
- 使用シーン(日常使い、記念日など)を想像する
- 売却を考える場合は、売却先の条件を購入前に確認する
グレーディングレポートの付属条件・品質・仕様は商品ごとに異なるため、各商品ページで確認してください。
購入後の後悔を防ぐ視点は、購入で後悔しないための確認ポイントでも整理しています。
よくある質問
Q. ラボグロウンダイヤモンドに価値はありますか?
A. 価値は一つの尺度では測れません。ジュエリーとしての価値、購入価格に対する価値、売却・資産としての価値に分けて考えると整理できます。
Q. ラボグロウンダイヤモンドは資産になりますか?
A. 将来の売却価格や値上がりは、天然・ラボグロウンのいずれも保証されません。二次流通の状況は、石や売却先によって異なり、一律には言えません。
Q. 天然ダイヤモンドなら資産になりますか?
A. 天然ダイヤモンドには二次流通市場がありますが、一般的な天然ダイヤモンドジュエリーは、金地金のように共通のベンチマーク価格と高い流動性を前提とする資産とは性質が異なります。
Q. ラボグロウンダイヤモンドは売れますか?買取価格はいくらですか?
A. 買取対応や査定額は、売却先・商品・市場環境によって異なり、統一的な金額や回収率は示せません。売却を考える場合は、購入前に売却先の条件を確認しましょう。
Q. グレーディングレポートがあれば、価値は保証されますか?
A. GIAのレポートは、寸法・品質・識別特性などの技術情報を示すもので、金銭的な査定額は記載されません。売却価格や将来の価値を保証するものではありません。
Q. 天然とラボグロウンで迷ったら、どう考えればよいですか?
A. 何を重視するかで考え方は変わります。美しさ、予算、天然であることへの思い、売却の考え方など、優先したい価値を整理してみてください。
まとめ
ラボグロウンダイヤモンドの価値は、一つの尺度では測れません。ジュエリーとしての価値(A)、購入価格に対する価値(B)、売却・資産としての価値(C)の3つに分けて考えると整理できます。
- A:美しさ、品質、身につける満足感。天然・ラボグロウンに共通する見方です。
- B:同じ予算で得られるサイズ・品質・デザイン。価格が低いことは、価値が低いことを意味しません。
- C:残存価値・換金性・投資としての性質は、それぞれ別の問いです。値段が付くことは、投資として優れていることを意味しません。ラボグロウンダイヤモンドの二次流通の状況は、一律には言えません。
天然かラボグロウンかではなく、どの価値を重視するかで、選び方は変わります。購入するときは、目的を整理し、品質情報やレポートを確認し、売却を考える場合は売却先の条件を購入前に確認してみてください。
なお、この記事の内容は、将来の売却価格や値上がりを保証するものではありません。
もっと詳しく知りたい方へ
婚約指輪として検討している方へ
普段使いを考えている方へ
レポートの見方・見分け方を知りたい方へ
商品ごとの品質情報やレポートの有無を見比べたい方は、公式サイトのラボグロウンダイヤモンド一覧をご覧ください。グレーディングレポートの付属条件・品質・仕様は商品ごとに異なるため、各商品ページで確認してください。
参考にした情報
- GIA「Does GIA certify or appraise diamonds and other gemstones?」
- GIA「What is the difference between a Diamond Grading Report and an Appraisal?」(2012年公開)
- GIA「How to Sell Your Gemstones and Jewelry」(2015年公開)
- GIA「Fancy Color Diamond」
- GIA「How do I identify laboratory-grown diamonds?」
- World Gold Council「Gold market primer: market size and structure」
- World Gold Council「Gold spot prices」
- 日本ラボラトリーグロウンダイヤモンド協会(JLGDA)「ダイヤモンドの「資産価値」概念の再考」(業界団体の見解として補助的に参照)
上記は2026年9月21日時点で確認した内容です。